とはいえ、分からない人もいるし、大多数の日本人は分からない。
なので少し解説します。
フサリア(Husaria)とはポーランド語で、いわゆる英語では(Polish)Winged Hussarsと書きます。
なのでフサールとも書かれていることが多いし、私もあんまり気にしないで使っている。
いちおう日本語のウィキペディアのページもある。
ユサール
http://ja.wikipedia.org/wiki/ユサール
とはいえ、このページだと軽騎兵であるユサールと混合してしまいそうですので補足しましょう。
というのもフサリアは重騎兵だからです。
元々の起源はセルビア人軽騎兵らしいのですが、コソヴォの戦いでオスマン帝国に敗北したセルビア人たちがハンガリーへと流れて、そこからポーランドへと伝播する過程で軽騎兵から重騎兵に兵種が変わっていったと言うことらしいです。
さて、そのフサリアの特徴ですが、「翼」です。
この画像を見て分かるとおり、そして英語表記にもあるとおり翼を背負ってます。
映画のパンフレットの正面にあるのもそうですね。
なので「有翼騎兵」、あるいは「有翼重騎兵」なんて訳されることもあります。
なんで翼を背負っているのかについては諸説あります。
翼を付けたら、鳥のように早くなると思ったからというファンタジーなもの。
閲兵式での装飾効果を狙ったという説。
馬を走らせたときに発生する風切り音や、翼を背負うという形で敵を恐怖させるというものまで。
ただ、何が正しいかは分からないようです。
もっとも実際に、翼を付けて馬を駆けさせても、大きな音は発しなかったと、近年の映画撮影なんかでの結果があります。
それに痛みやすいので、普段は馬車の中で雨の日も使わないなんてこともあったらしいです。
でも、存在そのものがファンタジーな感じなので後世の空想を誘います。
実際、ポーランドでも様々な絵画の題材になってます。
そして日本でもライトノベル系の題材に!
有翼騎士団 完全版 (ノン・ノベル)
日本のサムライが伝説の有翼の騎士と出会い、ポーランドのお姫様を助ける!
私は好きですが、この作者の作風は好みが分かれるところかも知れません。
閑話休題
さてこのフサリアですが、メチャクチャに強かった。
16世紀から18世紀になるまでの約200年間、その突撃に耐えられた軍隊はありませんでした。
リンクを張ったHPを読むとその戦い方がよく分かるかと思います。
「フサリアはいかに戦ったか」
http://homepage2.nifty.com/daimyoshibo/mil/polish_hussars.html
長いコピアと呼ばれる槍と、突撃直前の密集した隊形、そして全速力の衝撃力。
特に5メートルを超える槍は、中が中空で軽いので取り回しも楽だったようです。
勿論、一回使ったら中空なので壊れてしまいますが、接近戦ではサーベルなども携帯していました。
このあたりの話は先ほど紹介した日本語のwikiにも記載がありますね。
その強さは、全欧州に名高く、ドイツ三十年戦争で活躍したグスタヴ2世・アドルフも、彼らには手を焼き(というか結構ケチョンケチョンに打ち負かされた)、彼らの突撃を模倣してスウェーデン軍に抜剣突撃騎兵戦術を導入しています。

他にも17世紀中葉のオーストリアの軍人で軍事思想家モンテクッコリや、18世紀中葉のフランス軍大元帥モーリス・ド・サックスなど、フサリアの崇拝者は多数存在します。
この辺の事情は、また今度詳しく説明できたらなと思います。
騎兵戦闘における火力と衝撃力の相克はとても興味深い試行錯誤の連続だからです。
まぁともかくも、フサリアについて少しはイメージがつかめたかなと思います